鎌倉に佇む公家の茶屋「一条恵観山荘」 – カリモク特約店エーアイディー

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公開日:2024/03/29 最終更新日:2024/03/29

鎌倉に佇む公家の茶屋「一条恵観山荘」

こんにちは。カリモク特約店エーアイディー、シニアアドバイザーの加藤です。社員からはSA(エスエイ)と呼ばれています。今回のスタッフブログは私が担当させていただきます。 

 

エーアイディーの本社がある神奈川県、観光名所と言えば

箱根(湯本、芦ノ湖、美術館・・・)

横浜地区(中華街、赤レンガ倉庫、ランドマークタワー・・・)

湘南地区(江の島、水族館・・・)とありますが
 

忘れてはいけません。古都鎌倉があります。
 

鎌倉と言えば鶴岡八幡宮、建長・円覚寺、明月院などの神社仏閣も有名ですが、実は優れた建築物も多く存在しています。

その中で今日ご紹介するのは後水尾天皇の弟である一条恵観が京都西加茂に建てた茶屋を昭和に移築した「一条恵観山荘」です。

「いちじょう えかん さんそう」と読みます。

 

建物と一緒に移築された庭石や枯山水が敷地内を流れる川を取り込んで再建されています。武家の町の鎌倉に公家の茶屋が移築されているのです。

 

これも鎌倉の地形や自然、歴史の記憶が相まった賜物と言えますね。桂離宮や修学院離宮と同時期に建てられた山荘は、武家の文化では見られない雅な設えが各所に施されていました。

 

それでは一緒に江戸時代初期にトリップし、公家の風流な茶屋を体験して下さい。

 

3月16日(土)、事前に予約した建物見学ツアーに参加してきました。

鎌倉駅から歩いて約30分のこの地区には枯山水が美しい浄明寺や竹林で有名な報告寺なども有り、朝9時にもかかわらず観光客でいっぱいでした。欧米からのお客様も多かったです。

建物の外観です。萱葺き屋根の下に瓦です。

 

縁側から屋根を見上げるとこけら葺きの断面がはっきり見えます。

そうなんです。萱葺きの下に瓦、その下にこけら葺き、三層になっています。

 

こけら葺き屋根の内側です。

竹と葦簀で編んであるようです。

 

 

障子です。

ひし形の中にも細かい模様が入った素敵な唐紙です。

また、部屋ごとに取っ手が違うんです。

例えば、先にご紹介したこちらは、ひらがなの「の」の字。

 

こちらは、漢字の「月」です。

 

 

障子です。

良く見て下さい!千鳥格子のように縦のラインを入れています。ここにもこだわり、遊び心が・・・・

 

 

天井です。

天井にも「網代編み」と「板張り」の部屋があります。

 

網代編み

 

板張り

梁見せ天井なんですが、これもまた一工夫されていて、隣の部屋とは梁が直角になるように造られています。

 

つづいて、板襖です。

皆違う装いをした5人の男性が描かれています。

 

黒牛を連想させるなぞかけの絵だそうです。

 

左は菊の花、右はなんと薔薇だそうです。

 

 

次は、床の間です。

漆喰の壁に侘び寂びを感じさせる掛け軸が・・・畳には尺八のような竹があります。

 

戸棚です。

向こう側は隣の部屋(土間)に繋がっています。

 

こちらも戸棚です。

これも何かからくりがあるようです。今でも十分使用できる状態みたい。素敵な家具です。

 

 

今度は、縁側から見た庭園です。

川を眺める事の出来る庭です。

 

 

さらには、枯山水です。

 

 

水鉢には旬の花がチャーミングに浮かんでいました。

 

 

後陽成天皇の第九皇子であり、摂政・関白を二度務めた一条恵観(兼遐・昭良)によって営まれた山荘。

 
およそ370年前、時代は江戸時代初期、正保三年(西暦1646年)にこの山荘で茶会が催されたという記録があるそうです。

 
往時は京都西賀茂に建つ、緑の濃淡が幾重にも連なる里山に建つ一条家別邸の離れで、一見すると田舎家風なその建物は、恵観公自身が設計をし、随所に雅な心と野趣が込められた、皇族の「茶屋」

 
昭和34年、鎌倉の地に移築。庭石や枯山水も建物と共に移され当時と同じように配置されたそうです。その後、昭和39年には国の重要文化財に指定されています。

 

いかがでしたでしょうか?

50分の見学ツアーはあっという間でしたが、天気も良かった事も有り、また定員15名のところ9名でしたので、色々と質問もでき充実した体験が出来ました。

日本の木造建築の素晴らしさに驚愕!

370年前の建造にもかかわらず、京都から鎌倉まで移築されても状態は良く、このままで十分住まう事が出来そうです。

随所に公家の粋な遊び心が施されていましたし、庭園も自然のロケーションが最大限に活用されていました。

 

自然の川のせせらぎと鳥のさえずりを聞きながら、春は桜、秋は紅葉を眺めながら和歌を詠む。

雅、風流、和の情緒を十二分に味わう事が出来ました。

是非機会があったら訪れてみて下さいませ。